- 2024年3月16日
- M&A
運送業M&Aについて~Vol.3「M&Aの手法(スキーム)とメリット・デメリット」~
今回は、中小トラック運送会社のM&Aで多く用いられるスキームの「株式譲渡」と「事業譲渡」について解説をします。
M&Aのスキームにはどのようなものがあるのか?
M&Aとは「Mergers and Acquisitions(マージャーズ・アンド・アクイジションズ)」の略語で、「M」は「Mergers(合併)」の頭文字で、複数の会社が一つに統合されることを意味し、「A」は「Acquisitions(買収)」の頭文字で、ある会社が他の会社の支配権(経営権)を取得することを意味します。
- M&Aのスキームは次のとおりです。
- (M&Aの目的や状況に応じて、スキームを選択することになります。)
- ◇ 買収
- ①株式譲渡
- ②新株引受(第三者割当増資)
- ③株式交換・株式移転
- ④事業譲渡
- ⑤会社分割
- ◇ 合併
- ①吸収合併
- ②新設合併
- ◇ 提携
- ①業務提携
- ②資本提携
以下、株式譲渡と事業譲渡について解説します。
■ 株式譲渡
株式譲渡とは、譲り渡し側の株主(下図の X 株主)が、保有している発行済株式を譲り受け側(下図の B 社)に譲渡する手法であり、譲り渡し側(下図の A 社)を譲り受け側の子会社とするイメージです。
譲り渡し側の株主が変わるだけで、会社組織はそのまま引き継ぐ形となり、会社の資産、負債、従業員や社外の第三者との契約、許認可等は原則存続します。また、手続も他の手法に比べて相対的に簡便であると言えます。
ただし、未払残業代等、貸借対照表上の数字には表れない簿外債務や、紛争に関する損害賠償債務等、現時点では未発生だが将来的に発生し得る偶発債務もそのまま引き継ぐことになります。また、賃貸借契約等についてのチェンジ・オブ・コントロール条項の定めがある場合には、当該契約等の継続のために事前に賃貸人等との協議や交渉が必要になることがあるため、注意が必要です。
■ 事業譲渡
事業譲渡とは、譲り渡し側(下図の A 社)が有する事業の全部又は一部(土地、建物、機械設備等の資産や負債に加え、ノウハウや知的財産権等も含む。)を、譲り受け側(下図の B 社)に譲渡する手法です。
資産、負債、契約及び許認可等を個別に移転させるため、債権債務、雇用関係を含む契約関係を、一つ一つ、債権者や従業員の同意を取り付けて切り替えていかなければならず、譲渡する資産の中に不動産を含むような場合には登記手続も必要となります。また、許認可等は譲り受け側に承継されないことが多く、その場合には譲り受け側で許認可等を新規に取得する必要がある。事業譲渡の手法を選択した場合には株式譲渡に比べて手続が煩雑になることが一般的であるが、個別の事業・財産ごとに譲渡が可能なことから、事業の一部を手元に残すことも可能となります。
譲り受け側にとっては、特定の事業・財産のみを譲り受けることができるため、簿外債務・偶発債務のリスクを遮断しやすいというメリットがあります。
事業、従業員、株式の引継ぎなど、「事業承継」を目的とした場合には、「株式譲渡」のスキームが最も多く用いられられます。
企業価値、譲渡金額の設定、M&Aを実行する前に解決すべき課題、実行後に想定される課題、M&Aにより発生する税金など、多くの課題があります。先ずは、貴社にとってM&Aが最適な選択肢なのか、中小運送会社のM&Aで実績のある弊社へ、是非ご相談ください。
参考:中小M&Aガイドライン参考資料
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